「自己免疫性胃炎の内視鏡的萎縮分類と臨床病期に関する多機関後ろ向き観察研究」について
春藤内科胃腸科及び共同研究機関では、自己免疫性胃炎の患者さんを対象に研究を実施しております。内容については下記のとおりとなっております。
本研究は加古川中央市民病院の研究倫理審査委会の審査を受け、機関の長の許可を得て実施しています。
尚、この研究についてご質問がございましたら、最後に記しております【問い合わせ窓口】まで連絡ください。
[研究概要及び利用目的]
【春藤内科胃腸科】は以下の方法でお客様から個人情報を取得しています。
- 自己免疫性胃炎(autoimmune gastritis: AIG)という疾患は、胃に存在する壁細胞に関連する自己免疫性反応によって胃に障害をもたらす疾患です。この疾患は進行すると胃の腫瘍(胃癌や胃カルチノイドと呼ばれる腫瘍など)や、貧血(鉄欠乏性貧血、悪性貧血)、脳神経障害など様々な合併症をおこすことが知られています。また、胃以外の様々な自己免疫性疾患、例えば甲状腺の疾患、膠原病と呼ばれる様々な疾患とも関連性があることが知られています。そしてこれらの合併症や併発疾患のいくつかは、その発生頻度がAIGの進行度(どれほど病気が進行しているか)と関係しています。AIGを正しく診断することと、その重症度を把握するためには、現状では内視鏡検査を行ったときに生検といって胃粘膜の組織を採取することが必要で、通常は3か所、場合によっては5か所の採取が必要になっています。この生検という手技頻度は高くないですがやはり多少なりとも出血リスクを伴う検査です。
最近、このAIGの内視鏡所見に関して、とりわけ日本において新しい知見がどんどん積み上げられ、病初期から終末期にいたると考えられる様々な段階の内視鏡像が提示されるようになってきました。その中で重視されているのは、残存胃底腺(remnant oxyntic mucosa: ROM)と呼ばれる、まだ比較的萎縮の少ない粘膜の存在があきらかになってきたことです。私たちは、このROMが胃粘膜全体のどれほどの広さを占めているか、それを一定の尺度で分類して客観的評価を行うことによって、この疾患の進行度・重症度が内視鏡的に把握できるのではないかと考えています。このような視点からAIGを分類しようとする試みは世界的にみても類例がありません。もしこの分類をつくることができたら、この疾患の重症度を測る指標が得られることになります。これによって同じ疾患をもつ患者さんに対して、毎回生検を行わなくても、胃腫瘍、貧血、神経障害その他の合併症が今後どの程度発生するか、といった情報を提供できると考えています。
この研究の目的を達成するために、以下のような条件にあてはまる患者さんの過去の診療情報・試料を、このAIG内視鏡分類を策定するために使わせていただきたいと考えています。
尚、本研究は、加古川中央市民病院と全国の約22の医療機関と共同で実施するものです。
本研究の対象者
【春藤内科胃腸科】がお客様から個人情報を頂く場合は通常次のようなものが含まれます。
お客様のお名前、ご連絡先(ご住所、お電話、ファックス、メールアドレス等)
3.個人情報の利用目的
2022年3月までに、春藤内科胃腸科を受診され、自己免疫性胃炎と診断された方で
以下の、1)選択基準に合致し、2)除外基準に当てはまらない方のうち、3)の症例登録の方法で抽出された30名の方
- 1) 選択基準
イ)抗胃壁細胞抗体(anti-parietal cell antibody: PCA)あるいは抗内因子抗体(anti-
intrinsic factor antibody: IFA)が陽性であること。
ロ)病理組織学的に日本消化器内視鏡学会の附置研究会「A 型胃炎の診断基準確立に関
する研究会」の「自己免疫性胃炎の診断基準」2) を満たすこと。
ハ)登録症例が入力必須項目を満たしていること。
ニ)2022年3月までに血清ガストリンをRIA法(基準値200pg/ml以下)で測定していること。
ホ)客観的に評価できる適切な内視鏡画像が記録されていること. - 2)除外基準
イ)プロトンポンプ阻害薬(PPI)、カリウムイオン競合型酸ブロッカー(PCAb)投与例
過去1年以内にPPI・PCAbが投与されていた症例
ロ)免疫抑制剤投与例
ハ)内視鏡的なROMの広さの客観的評価が困難な症例
ニ) 本人または代理人から参加拒否の申し出があった症例
ホ) 本研究責任/分担医師および中央判定委員会が本研究の対象として相応しくないと判断した症例 - 3) 症例登録の方法
イ)ROM病期(通常光観察)0期、1期は全例登録する。
ロ)ROM病期2期(通常光観察)と3期(通常光観察)の登録方法
まず、0期と1期を含めた登録数が30例あるいはそれ以下になるように、2期と3期の合計登録数を確認する。次に、2期と3期とを合わせて診断日(内視鏡検査日)の日付順に並べ、任意の期間で連続した症例を登録数だけ抽出する。
合計で最大30例までを登録する。
取り扱うデータおよび試料・情報
- ① 基本情報:生年月日、性別、合併症、過去の手術歴、内服薬、Hp除菌歴
- ② 疾患情報:
1)内視鏡所見:
ROM病期 (0期、1期、2期、3期)
地図状発赤の有無、萎縮分布、前庭部の正色調の範囲
2) 合併病変
過形成性ポリープの有無、過形成性ポリープの最大病変の最大径、過形成性ポ リープの個数、胃癌の有無、胃NET*の有無
3) 検査所見:
PCA(倍)、Gastrin値、Hb 、MCV IFA
Fe 、ビタミンB12 、フェリチン 、PG1、PG1/2比、血清Hp抗体価、Hp便中抗原、Hp組織鏡検、Hp培養、Hp尿中抗体、甲状腺疾患(腫瘍性疾患を除く)の有無、甲状腺以外のAPS(autoimmune polyglandular syndrome) 関連疾患の有無、甲状腺以外のAPS関連疾患名、甲状腺関連データ (TSH, fT3, fT4, 抗TGAb, 抗TPOAbなど)の異常の有無(
4) 病理所見:前庭部大彎、胃体上部大彎
上記以外の部位
解析項目・方法
1) ROM病期分類の各病期ごとの合併病変 合併疾患の頻度、検査所見の重症度を比較する。
2) Hp感染状況別にみたROM病期分類の妥当性を評価する。
成果報告の方法
消化器病学関連の学会、雑誌等で、成果報告します。
研究期間
研究期間:研究機関の長による研究実施許可日 ~ 2024年12月31日
個人情報保護の方法
患者さんの個人情報については、本研究に関わる全ての研究者が守秘義務を順守するように徹底いたします。本研究で知り得た情報は、個人が同定できる形ではいかなる状況においても公表されません。研究責任者は責任をもって研究対象者識別番号リスト作成を作成し、加古川中央市民病院の鍵のかかる保管庫で管理します。また個人情報を外部機関へ提供することはありません。
試料・情報等の保存・管理責任者
各研究機関名:春藤内科胃腸科 研究責任者:春藤 譲治
データおよび試料提供による利益・不利益
利益:通常診療の情報を用いており、データをご提供頂いた患者さんの個人には特に利益になるようなことはありません。
不利益:診療録からのデータのみ利用するため特にありません。
登録終了後のデータおよび試薬の取り扱いについて
本研究において取得したデータ等は、研究期間中は加古川中央市民病院において厳重に保管いたします。研究終了後も少なくとも本研究の終了報告日から5年を経過した日または本研究の結果の最終の公表について報告された日から3年を経過したいずれか遅い日までの期間、当院内のデータベース内のみで管理し、プリントアウトや外部持ち出しは行いません。患者さん及びその家族等から参加拒否または同意撤回の申し出があった場合には、その方に関するデータはすみやかに廃棄します。
試料・情報の二次利用について
本研究で得られた情報は、私たちが所属する、日本消化器内視鏡学会の関連研究会である「自己免疫性胃炎の診断基準確立とその臨床病理学的意義に関する研究会」での議論を踏まえたうえで、発展的研究のために2次利用される可能性があります。もしこのような2次利用を伴う研究が発生する場合は、改めて加古川中央市民病院の研究倫理審査委員会に研究計画書を提出して倫理審査に諮り、了承を得たうえでその情報を公開いたします。
研究成果の公表について
研究成果を報告する、論文作成時や学会発表時には個人が特定できる情報は一切用いません。
研究へのデータ使用の取りやめについて
いつでも可能です。患者さんのデータを用いられたくない場合には、下記【問い合わせ窓口】までご連絡ください。取りやめの申し出を受けた場合、それ以降、患者様のデータを本研究に用いることはありません。しかし、同意を取り消した時点ですでに研究成果が論文などで公表されていた場合は廃棄できませんのでご了承願います。
問い合わせ窓口
この研究の問い合わせだけでなく、患者さんのデータが本研究に用いられているかどうかお知りになりたい時や、患者さんのデータの使用を望まれない場合など、この研究に関することは、どうぞ下記の窓口までお問い合わせください。
春藤内科胃腸科
研究責任者: 春藤 譲治
連絡先:088-699-3777
【研究代表者】
加古川中央市民病院 消化器内科・内科
研究責任者名:寺尾 秀一
連絡先:079-451-5500